B2BとB2Cの本質的な違いについて

社の雇用調整のため、9/30付で会社を退職した。現在、事業会社さんを中心に、就職活動をしている。
先日、後輩から「HP(ホームページ)を作りたいとおっしゃるお客様がいるのだが」という話しを聞いた。以下は、会話の主旨。

まず、お客様から発せられた「ニーズ」を聞くにあたって、以下の(当たり前のこと)が見逃されやすい。

  • HPを作りたいというお客様は、本当の意味ではHPをつくりたいのではない。(これは、有名なセオドア・レビットの「マーケティング近視眼」の主張と同じ)
  • お客様は、そのお客様(お客様のお客様)へのアピアランスを高めるため、引いては商売繁盛のための一手段としてHPが作りたい、と「おっしゃっている」に過ぎない。
  • 「ITサービス」というのは、お客様の真のニーズを満たすための手段としてITを利用していただくサービスのことである。

ここに本質的に重要なアクターが登場する。「お客様のお客様」である。そして、HP一つをとっても、

  • コンシューマー向け(すなわち、B2C)のHPと、B2BのHPが違うのは、この点においてである。

前者が、不特定多数の「お客様のお客様」に訴求する媒体であるのに対して、後者は特定の「お客様のお客様」に訴求する媒体である。
もっと、直接的にいえば、後者は「顔の見えるお客様のお客様」ということになる。お客様の商売を繁盛させるアクターの「顔が見える」ということは非常に重要である。そして、「お客様」と「お客様のお客様」の間に、Win-Winの関係を築くことが、ITソリューションとして求められることである。お客様が発した「HPを作りたい」というニーズは、このようにただしく解釈されなければならない。
したがって、ここではSEO対策などさほど重要ではない。HPは情報の伝達手段、さらに踏み込んでコミュニケーションのツールであることを考えれば、これを活性化するために、「お客様のお客様」が良いと思う仕掛けを提案するのは、ITサービス事業主の責務である。たとえば、オペレーション効率化、情報伝達の速度といった要素が重要である。

SEO対策、顧客経験価値の創造といったことは、基本的はコンシューマ向け(B2C)のHPで重要となるサービスである。何億、何十億と存在するHPから、お客様のお客様に「お客様を知ってもらう」、「HPの差別化を図る」ためである。B2Bでは、それよりもオペレーション効率が優先されることの方が多いだろう。

こういった、当たり前のことが見逃されやすくなっているようにも思う。イントラネットの業務システムに顧客経験価値を創造することが必要なのであろうか?そういう問題認識は重要である。

そして、「ITサービス業」においては、「お客さまはHPという言葉を借りて何を欲しているのか」を見極めなければならない。