中小企業とクラウドコンピューティング

ここまでのクラウド関連のログも、思っていた以上に回数を重ねてしまった。そもそもは、発端は知人から「中小企業とクラウド」についてコラムを書いてくれと頼まれたからであった。

さて、こうなると、大企業と中小企業の違い、みたいなことを考察しなくてはならないのだが、(経験の浅い)自分にはその資格がないように思う


ひとつだけ言えることは、クラウドコンピューティングによって、大企業が利用している、もしくは、それ以上のコンピュータ環境を「誰でもが」受けることができるようになった、ということだろう。


「それ以上の」と書いたのは、大企業は多くのレガシー資産を抱えており、グローバルな環境に対応しなくてはならない。世界の多くの国ではインターネットの利用環境が整っているとは言い難いから、その対応には、多くの労力と時間がかかるだろう。
また、過去のサービス契約に縛られる、クラウドを疑いの目で見る多くの人を説得しなければならない、ということもあるだろう。


先のログに書いたように、クラウドにセキュリティー面でのリスクが内在するのは事実である。
個人情報に関するものをクラウド上におくのは好ましくないだろう。

ただ、現在、クラウドから提供されているコンピュータ環境を使わない手はない、と思う。


常日頃、中小企業と大企業の違いは、間接人員をもてるかどうか、ITに設備投資できるかどうか(間接に投資できるかどうか)だ、と思っている。
中小企業には、コンピュータを扱う間接人員をもつ余裕はないし、同様に、サーバーといった機器類に投資をするのは(お金が)もったいない。
たとえコンピュータを買っても、社内に専門家がいないために、システムインテグレータに頼まざるを得ず、インテグレータは1日の作業に10万円をチャージする。


この環境が変わろうとしている(すでに大きく変わってしまった)のが、クラウドという社会現象である


情報資産を一度インターネットに「出してしまえば」、どこからでもアクセスできる。LANとか、WANとかいう必要はない。
Mail、Calendar、ファイルサーバー(ファイル共有)といった、基本的なグループウェアが、まさに、雲から提供されるのである。

Googleが携帯を提供し始めたが、クラウドの主要プレイヤーは「PCという呪縛」から利用者を解き放とうとしている
営業マンや、現場で働く人々が、PCを開くことなくそういったサービスを享受できる。そういう時代が、すぐそこまで来ている。(今でもPCを開けば享受できる)
そして、このために必要な間接人員は0なのである。


クラウドを使わない理由は、ここには見当たらない。過去の遺産に縛られない中小企業だからこそ、クラウドという「きんとうん」に乗れると思う。

知人の会社では、Google Apps(一人5000円/年)の契約をしている。
これで得られるディスクの容量は、メイルで25Gバイトである。ダウンタイム基準で99.9%のサービスレベルを保証している。
ベンダーからサーバーを仕入れて、メイルサーバー、ファイルサーバー、認証サーバーなどを設定し、社員1名にこれだけの保管領域とサービスレベルを提供できる大企業は存在しないと思う。コストを度外視すれば可能かもしれないが、NASAのような企業は存在しないだろう。ただし、例外的にGoogleはそうかもしれない。