web2.0的ブローカー

本日も、過去に書いたブログからの再掲です。原著は2006/7/16です。

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前回の論考では、web2.0で私が考えることをサラッと述べました。


この中で1点だけ、個人的に「果たしてそうとだけ言えるのか」と思っていたことがあります。

それが、

>どなたかが「これからはデータの蓄積量が勝負」というような論考を述べていられました

の部分です。


当たり前の話ですが「googleやyahooはデータを蓄積しているから強い」のではなくて、「(そのインデックスという資産を使って)大量のトラフィックを誘導できるから強い」のです。
(当然、この背景には、両社の収益基盤が企業広告であるという事実があります)


トラフィックを誘導すること」と「巨大なデータを資産化すること」は必ずしもイコールではありません(「未分化のトラフィック」をサイトに誘導して行くことの重要性は、Overture創業者のビル・グロスが最初に気がついたと言われます)。
ただ、前回の論考でも述べましたように、このデータ資産が、googleやyahooにとって巨大な参入障壁となって、自社を競争社会から守ってくれているのも事実であって、検索サイトがポータル化している現在では「トラフィックを誘導すること」=「巨大なデータを資産化すること」と言えるかもしれません。


トラフィックを誘導する」という事業手段は巨大な設備投資などできない個人事業者でも、アイデア次第で可能であると思われます。

したがって、今後、個人事業者を中心として、「トラフィックのブローカー(トラフィックの仲介人)」が多く発生すると思います。この萌芽はブログで流行のアフィリエイトからも明らかに見えています。


Amazon、Yahoo、Googleはてなといった代表的なweb2.0的企業は、当然これらの事実に気がついていて、web serviceやアソシエイトプログラムなどを急速に充実させています。
これらの企業が、それぞれの巨大なデータベースの利用をアソシエイトたちに開放している事実からも、彼らがいかに「トラフィックを欲しがっている」かがよくわかります。


情報資産は持っているものから借りる、その代わりにトラフィックを誘導する、こういったブローカー業は(巨大なストレージや特許に守られた検索アルゴリズム、衛星ロケットを持ちませんので)参入障壁も低く、アイデアしだいでビジネスをものにするチャンスが多くなるでしょう。


そういう時代がきています。